サッカー独り言。

オシム氏が倒れてしまって2年が経った。歴代日本代表の監督の中でオシム氏が一番好きな自分としては、今オシム氏が代表監督に復帰したら、誰を呼ぶのだろう、どんなサッカーを見せてくれるのだろう、記者会見でどんなことを言うのだろう、想像するのが楽しい。これはミロのヴィーナスの腕を想像することに通じる。オシム氏が代表監督に復帰する可能性はほぼないので、オシム氏の『ジャパン・オリジナル』は未完成に終わることになる。いくら雑誌で氏の頭の中のサッカーをインタビューしても、失われた腕の先を様々な角度から予測しても、『オシムジャパンの90分』はもう見れないわけである。残念であるが、それはそれで楽しい事かもしれない。オシム氏が『日本サッカー界の功績者』と呼ばれるのはあと何年、ひょっとすると何十年後のことになるか。まああんま美化しすぎも問題だけどね。


ザスパ草津の今期は9位でゴール。球団初Jリーグでの連勝を達成し、第2クールは7勝4分3敗の成績で一気に昇格争いに加わった。何度か生で試合を見たけど、第2クールからはかなり面白いサッカーを展開していた。サッカーにあまり興味のない人でも、草津のサッカーは面白く見れる要素がある。ちなみに、昇格争いをしていたときに、Jリーグから「今の財務状況では、たとえ昇格の成績でも昇格させない」的な話をされていたらしい。選手は知っていたのだろうか?一生懸命プレーしている選手にとってはとても酷な話だったと思うけど、僕個人としては、これだからJ2は面白い!いっそ今期昇格条件の成績を残し、Jリーグから昇格を拒否されたら面白かっただろう。マスコミはこぞって「悲劇のチーム」を取材するし、何が障害なのかハッキリする。まあ、根本的な問題は、群馬におけるJリーグへの感心だろうか。群馬から離れてしまったが、このチームのことはできるだけ追っかけていきたいと思う。


その点仙台はファンに恵まれていて大変うらやましい。ホームゲームの日は、仙台市内は『お祭り』の匂いさえ漂ってくる。磐田との入れ替え戦は、J2で磨いた超プレッシングとゴールへ向かってく攻めがうまく機能しながらも、勝負どころを磐田にやられ、惜しくも昇格かなわず。仙台としては、ホームで1失点したこと、アウェーでの1得点目が遅かったことが悔やまれる。梁はチームに残ってくれるだろうか。


広島がJ2で勝ち点100を奪い取った超攻撃パスサッカーはJ1で通用するのか?が主たるテーマだった広島vs柏。答えは「通用する!・・・かも」。天皇杯は気持ちが結果に出やすい大会で、正直、J2では隠れてた「慣れ」や「甘え」が見えたというか、特に2失点目(キーパーからストヤノフへ中途半端なパス、スノトヤノフのトラップミスをさらわれて1点)は、勝てそうな試合をことごとく落としていた去年の広島のリーグ戦のようだった。とはいえ、前半は面白いようにボールが回り、嵌ったら怖いな、という印象。1年間お疲れ様でした。もうJ2帰ってくんなよ。


柏vs広島の試合のMVPを決めさせていただくならば、僕は迷わず『家本主審』にしたいと思う。カップ準々決勝という難しい試合を、イエローカード1枚のみという無風で乗り切った。家本主審といえば、ゼロックス・スーパーカップでの主審が有名で、ゲームコントロールが悪いという理由でJリーグ無期限担当割り当て停止を受け、7月にJ1のゲームに復帰している。審判というのは、いいジャッジをしたときは何も言われないくせに、悪いときは徹底的に叩かれる。僕自身、小学生のサッカーチームをしていて、人からの言われることは大体苦情だった(僕のジャッジが悪いのだけれど)。審判とは割に合わない役である。サッカーファンの方は、もっともっと、審判のことを理解してほしい、尊重してほしい。いいゲームにはいいジャッジが不可欠なことは、サッカーをよく見てる人にはわかるだろう。ドイツW杯で、3位決定戦の主審が日本人だったことを知っている日本人はどれだけいるだろうか。開催国ドイツとグレーなプレーが多いポルトガルの試合の笛を吹き、英BBCから絶賛された上川主審を、ご存知だろうか。


もっともっと、海外のクラブチームと試合をしたほうがいいと思った。マンチェスターUは置いといて、リカ・デ・キト、パチューカなど、Jでは見られないサッカーがある。クラブにとってもいいことだし、日本のサッカーファンも、今までは代表戦でしか計れなかった『世界との物差』というものを手に入れることができる。そのためには国内での試合数を少なくしなければならないけれど。すでにスルガ銀行チャンピオンシップや、ちば銀カップなど、Jリーグ対海外クラブチームの大会が成立しているので、この春は注目したい。メディアはもっとこういう大会を取り上げてほしいし、ただのプレシーズンマッチで終わらない試合を期待している。将来、知名度や選手のモチベーションという点でクラブW杯がW杯と並ぶ、または追い越す時代が来るのだろうか。


サッカースタジアムの近くの家に住みたい。近く、というのは、自転車で行って帰ってくる距離、つまり30kmというところだろうか。J1J2JFLあたりのチームならどこでもいい。1年間ひとつのチームをずっと見続けたら、多分何か発見があると思う。